Yosemite's Annual Vintners' Holidays 2001
初の冬のヨセミテ。国立公園のゲートを抜けるとそこは銀世界だった。夏とはうってかわって静寂な世界が広がる。 歩いている人も全くいない自分一人のヨセミテ。静まり返ったヨセミテは魔法がかかったように美しい。 Vintner's Holiday は3日間を通したイベント。初日の夜6時からアワニーにてまずテースティングとワイナリーの紹介がされる。冬のアワニーもこれまた素晴らしい 。重厚な内装を照らす淡い暖炉の明かりがとても暖か。ワインとオードブルをもらってソファーに腰掛け、のんびりゆ ったりワインを楽しむ。これぞ最高の贅沢。 |
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ワインは今回講演を行うワイナリーのものが注がれる。Ferrari-CaranoはFume Blancを注いでいた。Fume Blancというよりはシャルドネのような濃厚な味わい。濃いクリームソースに合い そう。次はChalone Group の 新しいワイナリーProvancial Winery Rutherford Cabernet Sauvignon まだちょっと若い味わい。Cabernet Francを専門としているClock&Starr はあまり好みではなかった。だいぶ時間がたっていたせいかもしれない。次はBeringerのMerlotをもらおうと思 ったらなんと無くなってしまっていた。残念無念。のんびりしている場合ではなかった。中途半端な時期の平日のせいか、テイスティングに来ている 人はほとんど熟年のカップル。アジア人の我々は子供に見えるに違いない。 |
そうこうしていると各ワイナリーの代表の紹 介と挨拶が始まった。背の高い白人にうもれてほとんど何も見えなかったがBeringerのワインメーカーは一目で判 った。以前Wine&Spirits に載っていたそのまんまのコワモテ。一体どんなキャラクターなのかセミナーが楽しみ だ。 あまり知られていないが、この初日のワインのテースティングは誰でも参加できる。たまたまヨテミテにいた人も無 料でワインとおつまみが楽しめので、もしこの時期にヨセミテに行くなら是非参加をおすすめする。 |
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次の日からいよいよセミナーが始まる。午後2時からまずはBeringer。暖炉の前のラウンジに会議用テーブルが並べられラ ウンジが一転してセミナー会場と化していた。各自好きな席に座る。席にはBeringerのパンフレット一式とHowel lMountain Merlotのグラスが6種用意されている。本日のお題はHowell Mountain Merlot のバーチカル テイスティングだ。BeringerのシニアワインメーカーEd Sbragia 氏が紹介されBeringerの簡単な歴史の紹介の後 テイスティングへと進む。本日用意されたHowell Mountain Merlotは1987、1990、1991、1994 、1995、1997の6種。並べられたワイングラスからとても良い香りが立ち上がっている。歴史を振り返りな がらのテイスティングということで古いものから新しいものへと飲んでいく。 |
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1987は濃いベリー、マッシュルー ムの香り、トリュフ、カシス、とても複雑、口のなかに広がるビッグなワイン実に美味しい。80年代のMerlotを飲 んだのは初めてだったのでマジで感激。熟成したワインの美味しさにはまりそう。次の1990はコーヒー、ミントの香り、 はじける果実味、プラム、複雑でビッグなワイン。こちらも非常に美味しい。1991になるとワインが軽めになっ てくる。チェリーやチョコレート。シャープな舌触り。いままでの2種にくらべると物足りない。 | |
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1994はチェリ
ー、ミント、ミネラルの小さくまとまったワイン。対して1995は完熟ラズベリー、チェリー、シルキーでまろや
かなベルベットのようなワイン。タンニンも豊か。とてもビッグでロングフィニッシュワイン。1997は濃い完熟
チェリー。ビッグで1995に比べると荒荒しい。6種のなかではまず1987がダントツ美味しく、続いて199
0、1995が好みだった。とても贅沢なセレクションに大満足。
1時間の休憩の後にCrocker&Starrのセミナーが始まった。Beringerのセミナーはほぼ満席だったがCrocker &Starrは空席が目立つ。ばっくれた人がかなりいるようだ。ひどいなー。
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Crocker&Starrはナパにあるワイナリー。Edna ValleyやSpottswoodで働いたPam Starrさんがワインメーカー。ちょっと業務的なスピーチだったBeringerのEd Sbragia氏と違い彼女の話は情熱的で引きこまれる。 本日のテイスティングは Cabernet Francのバーチ カル。1997年はプラム、コーラ、ショートフィニッシュ、ちょっと養命酒のような香り。1998年はバランスの 良いフルーツ、より濃くいベリー、ビターチョコレート、アルコールも強め。1999はビッグで濃縮された味チェ リーやブラックベリーのフルーツオーキーなロングフィニッシュ。とても良く熟成しそうなワイン。年を追うごとに どんどん美味しくなっており、1999が一番美味しかった。これからどんどん成長しそうなワイナリー。 |
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2日目のセミナー。まずはChalone Groupの新しいプロジェクト、Provenanced Vineyards。Provenance Vineyards はDuckhornを一から作り上げたTom Rinaldi氏がワインメーカーを務め、Rutherfordの カベルネを使ったワインを作っている。今回テイスティングできるワインはRutherford Cabernet Sauvig nonのバーチカル。まだ新しいワイナリーなので試飲できるワインの数も少なく3種のみ。バレルサンプルの2001 年は葡萄を絞ったばかりのジュースという紫色。バレルに眠る前のワインはどのようなものかが味わえる。 2000 年はフルーティでまろやか。ちょっとビターな大人の味。1999年はよりまろやか。ビターでスモーキー。ちょっ とメルローっぽい。Rutherfordのカベルネの特徴のココアパウダーが良く出ているカベルネ。笑いを交えたTom 氏の話も楽しく和やかな雰囲気で進んだ。 |
雪景色のアワニー |
2日目第2段はFerrari-Caranoのシャルドネ6種。畑の違いを見るための2種、クローンの違いを味わうための2種 、マロラクティックファーメンテーションの違いを見る2種の6種。公演をするのはFerrari-CaranoのワインメーカーGeorge Bersic氏。シャルドネのそれぞれの要素を味わって、その後に各自でブレンドしてみようというプログラムを用 意していた。冗談交えた話がとても面白く会場は盛り上がる。 | |
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まずは畑の違いを見る2種を味見。 Clone 15 のRussian River Dutton Ranch Chardonnay とClone15 Alexander Valley Ferrari-Carano Chardonnayを比較。畑の違いがはっきり現れていてびっくり。Russian River は寒冷な気候のためシトラス、青りんごの酸味が美味しいさわやかなシャルドネ。対してAlexaner Valleyはクリーミー、メロンやハニー、やや甘すぎるほど。 次はクローンの違いを味わう2種。Jimtown Clone は桃、ハニー、シトラスでちょっと酸味がある。対してSpring Mountain Clone はまさしくマスカット。フローラルな香り。あまりの違いにびっくり! |
最後はマロラク ティックファーメンテーションの強弱の違い。マロラクティックファーメンテーションとは2次発行のことで、青り んごのような酸味をバターミルク、チーズの風味に変えるバクテリアを加えることを言う。2次発行がマイナスのワ インは青りんご、プラム、ハニー、酸味が良く現れている。対して2次発行がプラスのワインは酸味が殆ど無くやた らと重いワイン。これも違いがはっきりしていてとても面白い。 このようにワインの要素を試飲を交えて説明しても らったのは始めてだったのでとても勉強になった。最後は各自で好きなワインのブレンドをしてみる。色々試してみ たがなんだか変な味になってしまった。これを素晴らしいバランスにしあげるのがワインメーカーの腕の見せ所なん だなー。と実感。Ferrari-Caranoのセミナーな楽しくとても勉強になるもので2日間を通 して一番面白かった。 |
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最終日の夜はいよいよ最後のイベント、 アワニーのダイニングルームでのディナーだ。皆おしゃれをしてやってきた。席は相席で事前に渡された番号札をもとにテーブルに案内される。我々は他のカップル3組と一緒になった。初対面 だが、皆ワイン好きなのでワインの話題で盛り上がる。 食事は5種のコース。各料理にワインがペアリングされる。ワインでは1999 Ferrari-Carano Chardonnay Reserve Napaが文句無しに美味しい。また1997 Beringer Alluvium Knight's Valleyもバランスがとれた何にでも合いそうな美味しいワインだった。料理もワインもとても美味しいが、何よりも雰囲気がとてもいい。楽しい会話はワインと料理の味をよりいっそう高めてくれる。お腹も心も大満足になる夕食だった。 |
アワニーでのディナー |
静かな冬のヨセミテで味わうワインは本当に極上。ワインを楽しむにはこれ以上無いというほど最高のセッティング。心にじんわり染み込むような、とても素晴しい3日間だった。 |
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