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Vol.107 ロバート・パーカーってどんな人?


 

Robert Parker

 

 

The Wine Advocate

 

ロバート・パーカー(Robert Parker Jr.)といえば泣く子も黙るワイン批評家。パーカーがひとたび高得点をつければそのワインはあっという間に値上がりし、ワイン屋さんからワインが蒸発するくらいの影響力を持つ人物です。

しかし一方で、映画「モンドヴィーノ」でも取り上げられていたように「ワインの評価が偏り過ぎてる、癒着がある、ワイン業界に影響がありすぎる」など様々な批判も多いパーカー氏。

そんな彼は一体どんな人物なんだろうと思い、調べてみました。

【 コーラ大好き少年 】

パーカー氏は1947年にアメリカ、メリーランドの小さな街で産まれました。両親は酪農業を営んでいた典型的なアメリカ家庭。コカ・コーラが大好きで、ワインが食卓にのぼることは無かったとか。

彼がワインを初めて味わったのは1967年のこと。法学部の学生だった20歳の時です。クリスマス休暇に高校時代の彼女(そして今の奥様)のパットに会いにパリを訪問したパーカーは、彼女にコーラよりも安いテーブルワインを飲んでみるよう勧められます。そこでパーカーはたちまちワインとパットの両方に恋に落ちてしまったそうです

。 それ以来彼はワインについて調べ、書くことに熱中するようになり、1978年にはニュースレター、ワイン・アドヴォケートを創刊します。

【 ワイン購入ガイド 】

1970年代のアメリカは丁度ワインへの感心が高まって来た時代。さらに経済成長に伴い金銭的に余裕のあるミドルクラスが増えたことも手伝って、ワインの消費量 は増えていきました。

当時人々はどのワインを買えば良いかという指標を求めていたにも関わらず、ワイン雑誌はほとんど皆無。そこにパーカーのワイン・アドヴォケートが登場したのです。

創刊号は彼自身がタイプし、製本。それをワイン屋さんから購入したメーリングリストに載っている人々6500人宛に発送しました。するとただちに600人から定期購読の申し込みがあったそうです。ダイレクトマーケティング的には大成功の回答率。(パーカー的には不服だったようですが。)

【 業界に媚びない 】

レスポンスが良かった理由として、100点満点制の判りやすさ、見易いシンプルなレイアウト、そして膨大なワインのレーティング等があげられますが、さらに当時のワイン業界に真っ向から対立したコメントを掲載したことが消費者の共感を得たと言われています。

創刊号には「1973年のボルドーは、ごく限られた例外を除いてがっかりさせられるものだった。そして品質に対して値段が高すぎる。シャトーマルゴーは55点」と記載されていたそうです。(ちなみに100点満点中、最低点は50点。)

さらに彼の地位 を決定付けたのが後の1982年のボルドーに対するコメントです。パーカーは「ボルドーの1982年ビンテージは過去最高のものだ」とコメント。これは著明なワインライター達の意見とは真逆のものだったのです。真っ向から意見が対立したワイン業界とパーカーでしたが、その後業界側が「パーカーが正しかった」と意見を訂正する結果 に。

このことがパーカー人気に火をつけ、ニュースレターの購読者は一万人を突破。それまで副業としていたニュースレターの発行を本業にすることが出来るようになったそうです。

【 フランスの御墨付き 】

1855年から続くボルドーの格付けを全く無視したパーカーのニュースレターは、それまで悪いビンテージであっても高い値段をつけることが出来た格付けの高いシャトーの立場をひっくり返す程の影響があったと言います。

さらにカリフォルニアのガレージワインよりも低い点をつけられて、プライドを傷つけられたシャトーが無いとかあったとか。

しかしパーカーは1993年にフランスで最も権威のある勲章であるレジオンドヌール勲位 をシラク大統領から手渡されます。そして「世界でもっとも尊敬され影響のあるフランスワインの評論家」として称えられたのです。

フランス人さえも認めさせたパーカー。次週はさらに彼にせまります。

つづく

2006.2.3

 

 




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