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Vol.65 プティ・シラーは来るのか?

 

 

Petite Sirahの葡萄

 

かなりマイナーでマニアックな葡萄品種プティ・シラー(Petite Sirah)。そのプティ・シラーの作付面積が近年倍増しているそうです。

2002年にはP.S.I Love You (Petite Sirah I Love You)というプティ・シラーの団体も出来、今プティ・シラーの波がきてるようです。

【 プティ・シラーってなに? 】

「でもプティ・シラーって一体何だ?」カリフォルニアワインを飲まれている方なら一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。

直訳すると「小さいシラー」だからシラーの親戚 かなあ?と思ったり。でも他の国ではプティ・シラーという品種を耳にしないので、ジンファンデルのようなカリフォルニアオリジナル品種かな?とも思ったり。

【 シラーの子供でした 】

そんな謎が1997年についに解明されました。UCデービスのカロール・メレディス博士が行ったDNA鑑定で、プティ・シラーはフランスのDurifという葡萄と同一のものと証明されたのです。

Durifとは1870年代にフランスの科学者Durif博士によって作られた交配種。シラーのフレーバーを持つ病気に強い品種を作ろうと、シラーとPeloursinという葡萄を掛け合わせて作られたそうです。そう、やっぱりプティ・シラーはシラーと血縁関係にあったんですね。

Durifは病気には強かったものの、味がいまひとつだったためフランスでは廃れていってしまいました。それがいつのまにか19世紀にカリフォルニアに出没し、その後細々と生き残ったのが現在のプティ・シラーです。

【 いまいちマイナー 】

1964年にフォピアノ・ビンヤーズ(Foppiano Vineyards)が初めてプティ・シラーを単一品種としてボトリングしましたが、プティ・シラーの主な使用法はジンファンデルなどのブレンド用。ずっと日の目を見ないマイナーな葡萄でした。

そんなプティ・シラーの作付面 積がここ数年急に倍増したのです。その理由はニッチ市場狙い。競争率の激しいカベルネやピノノアール市場を避けるためプティ・シラーに投資する人が増えたのだとか。

しかし今の今までプティ・シラーがマイナーだったのにはそれなりの理由があります。というのも、美味しいワインにするのが難しいという点があるからです。

【 要研究 】

プティ・シラーは失敗するとすぐタンニン強烈で苦く風味に欠けるワインになってしまうため単一品種として作るワイナリーが今まであまりありませんでした。

作るワイナリーが少ないということはそれだけプティ・シラーのワインメーキングが研究されていないということ。 プティ・シラーは「ノウハウが無い→挑戦しづらい→ますますマイナーになる」という悪循環に陥っていたのです。

【 はたして来るのか? 】

しかし近年ターリーワインセラーズ(Turley Wine Cellars)やスイッチバックリッジ(Switchback Ridge)など、とても素晴しいプティ・シラーを造り出すワイナリーが登場してきました。そして彼等に追い付け追い越せと他のワイナリーもプティ・シラーに注目するようになってきたのです。

一昔前のサンジョベーゼのように廃れてしまうのか、それともニッチ市場を確立出来るのか、プティ・シラーは今要注目の葡萄です。

次週からお勧めプティ・シラーをご紹介していきますので、みなさんも是非プティ・シラーを飲んでその可能性を探ってみてください。

ちなみに私はマニアックなものが好きなので、プティ・シラーを密かに応援しています。

2005.3.31

 

 




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